さて、今回はNHKテレビ「試してガッテン」の総入れ歯のお話の続編です。
テレビの詳しい内容は、前回のブログを見てくださいね
その番組の話題の中で、一番注目されていたのは、
「小さな入れ歯は、入れ歯の下敷きになって圧迫されている
歯肉の下にあるアゴの骨が溶けてしまう」という点でした。
下の写真を見てください。
なんと、同じ人の入れ歯ですよ・・・。
![022.jpg](https://meguro-shika.jp/wp-content/themes/meguro-shika/img/diaryblog/assets_c/2021/03/022-thumb-440x330-235.jpg)
よく入れ歯の下に食べ物が入り込んでしまうっていう症状は
歯肉が痩せたせいで起きるのです。
下の写真をみてください。
入れ歯で苦労されていた、上の入れ歯の方のお口の中です。
![023.jpg](https://meguro-shika.jp/wp-content/themes/meguro-shika/img/diaryblog/assets_c/2021/03/023-thumb-440x330-237.jpg)
歯医者がこの写真を見れば泣きたくなります・・・。
歯肉が痩せていて、入れ歯を支えてくれる骨がまったくありません・・・
超難症例なのです・・・。
元の歯があった歯肉の場所が膨らんでいれば、
歯科医が入れ歯の型を採る時にとても参考になります。
そして、入れ歯を制作する歯科技工士さんも
入れ歯の歯を並べる時に、歯の位置をイメージしやすいのです。
写真の症例のように、目印になる歯肉の膨らみが無い方の入れ歯は
知識と技術と経験が無いと、良い結果は出ません。
歯科医の技術の差がはっきり出てしまうのが、総入れ歯なのです。
そして、歯科医の要求を的確に再現してくれる歯科技工士さんの能力も重要になります。
歯科医と歯科技工士が共に最高の力を出さなければ良い結果は出ません。
「試してガッテン」のテレビでも東京医科歯科大学水口俊介教授が、
「入れ歯の出来が悪いのは、歯医者の腕が悪いの?」というゲストの厳しい質問に
苦笑いしてうなずいていました・・・。
ただ、あなたに知って欲しいのは良い入れ歯を作るには、
とても高度な技術と時間が、
歯科医と歯科技工士に要求されるということです。
つまり、費用がかかるということです。
平成21年1月30日の朝日新聞に水口教授がコメントしていました
以下、記事抜粋
「保険診療でもしっかりした総入れ歯を作ってくれる歯科医もいるが、採算を度外視せざるをえない。手間をかけても採算が取れるような医療保険制度にすることが望ましいのだが・・・」
同新聞には、私の師匠の元日本歯科大学教授、稲葉繁先生もコメントされています
「保険では歯科医の技術評価が低すぎ、きちんとした入れ歯が作れない・・・」
正直に言いますね・・・。
保険で良い入れ歯を作ったら、数十万円の赤字です。
だって、私一人の力では良い入れ歯は作れないんですから・・・。
一流の歯科技工士さんに、高額な製作費を支払わなければ作れませんから・・・。
一流の歯科技工士さんは、保険の入れ歯は制作してくれません。
入れ歯は人工臓器です。
あなたなら、
39,800円と100万円の人工心臓があったらどちらを選びますか?
良いものは高いです。現実です。
私も、あなたに良い入れ歯を提供できるように、頑張りますね。
ではまた。