歯医者さんを探すとき、あなたはどのようにその先生の治療技術を見抜いていますか?
たとえば
- 先生の経歴が大学教授だったり、○○認定医である
- ○○学会、○○研究会に所属している
- さまざまなセミナー受講証が飾られている
- 最新の設備が完備されている
など、いろいろな見方があるかと思います。
ただし、これらは実際に高品質な治療を提供できるかどうかとは別問題です。お料理のように、頭で理解しているのと実際にやるのは別なのです。
論文を発表するなど、研究に熱心でも治療に向いていない先生もいれば、認定証はあるが実際の治療経験はほとんどない、というパターンもあります。(認定証は費用を払ってコースを受講すればもらえるものなのです)
また「歯を削る」 「歯型を採る」と言っても、どの医院でも精度の高い治療をしてもらえると思ってはいけません。ひとつひとつの工程の技術レベルも千差万別で、その積み重ねによって最終的な入れ歯やインプラントが完成するのです。
当院では、日々の治療の中で知識が誠実に再現され、患者さまに届けられてはじめてご満足いただけると考えています。見た目は綺麗に見えても、あなたには見ることができない部分が誠実な治療とは限らないのです。
ここでは、知識が治療に再現されているかどうかを見極めるポイントをご紹介します。
高額な入れ歯が、出来上がったらガッカリ・・・?
仮の歯を、きちんと製作してもらえるか?
ここがポイント!
- 仮の歯で、最終形に近い見た目と咬み合わせの状態を確認させてもらえる。
- あなたの好みやこだわりも、きちんと聞いてもらえる
-
治療前
-
仮の歯
全てインプラントです -
治療後
あなたは、「頑張って高額な治療費を払ったのに、完成したら見た目や咬み合わせのズレにガッカリした・・・」みたいな経験はありませんか?特に、前歯の審美歯科治療やお口の中を大がかりに治療する場合に起こりやすいです。なぜなら、歯医者さんが見た目や咬み合わせを自分勝手に決めるからです。
でも、腕の良い歯医者さんが作る審美セラミック冠や入れ歯は、あなたをガッカリさせる可能性はとても少ないです。
理由は、完成前にあなたが最終的な入れ歯の完成形をイメージできるような、仮の歯をきちんと製作してくれるからです。
仮の歯を製作してくれる歯医者さんはたくさんいますが、最終的な完成形をイメージできるほど、丁寧な仮の歯を製作してくれる歯医者さんは実はとても少ないのです。
歯医者さんにとっては、仮の歯の製作は手間暇がかかりとても面倒なのです。さらに、あなたの好みに合わせて微調整を繰り返すなんてできれば避けたいのです。
当たり前ですが、どんな仕事でも早く完成させて納品した方が儲かります。歯医者さんだって、商売ですから同じなのです。
ただし、この工程は歯医者さんにとっても、最終的な仕上がりや満足度を高めるために、本来はとても重要な作業なのです。
歯医者さんのセンスと、あなたの好みが一致するとは限らない場合もあります。
インターネットでは、桁違いの症例数を売り物にしているクリニックを見かけますが、丁寧な仮の歯を製作してもらえるのでしょうか?とても疑問です。
- 歯医者さんへの
質問! -
仮の歯で、きちんと見た目や咬み合わせを確認させてもらえますか?
見た目は良いけど、良く咬めない・・・?
正確な咬み合わせの記録が採れるか
ここがポイント!
- 咬合器を診査・診断・治療に使っている
- ゴシックアーチトレーサーで、正確に咬み合わせの記録を採っている
-
ドイツ製の高精度な咬合器 -
当院所有の咬合器の一部 -
3点式ゴシックアーチトレーサーで、
正確に咬み合わせの位置を記録 -
咬み合わせの中心の位置に凹みをつけ、
その位置でしっかり固定します。 -
1点式ゴシックアーチトレーサーで、
正確に咬み合わせの位置を記録 -
歯科医の勘に頼らない、
正確な咬み合わせの記録
精度の高い入れ歯の製作や、咬み合わせの診断にはアゴの動きを再現できる咬合器と呼ばれる器械が必要です。
実は、咬合器を日常的に診査・診断・治療に役立てている歯医者さんはとても少ないです。自前の咬合器すら持っていない歯医者さんも多いのです。さらに歯科医の勘に頼らずに、ゴシックアーチ描記法という技術で噛み合わせの位置を精確に決定している歯医者さんはさらに少ないです。
見た目は綺麗でも咬み合わせが狂っていたら、よく噛めません。 お口の中全体を治療する場合は、歯医者さんが任意に咬み合わせを作りますから高度な技術が必要になります。知識と知恵、経験が影響します。
咬み合わせの治療が上手な歯医者さんは、顎関節症の治療が得意な場合が多いです。
- 歯医者さんへの
質問! -
先生は、咬合器をお持ちですか?
今すぐ、見せていただけますか? ⇒【ブログ】先生は咬み合わせのチェックに咬合器とゴシックアーチを使いますか?先生は、顎関節症の治療はできますか?咬合器を使って説明してください。
あなたが決して見ることができない細部まで、
誠実に施術さている保証はありません・・・
正確に歯を削れるか
ここがポイント!
- 歯肉を傷つけないで歯を削っているか?
- お口全体を、総合的に治療した経験が豊富!自分と同じような症例を見せてもらいましょう!
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振動が多いドリルは歯を痛めます -
注水量が少ないドリルは知覚過敏の原因です -
仮の歯でシミュレーション -
シミュレーションに合わせて丁寧に歯を削ります -
オーダーメイドのトレーで採られた正確な歯型 -
削られた部分との境界が明瞭な、正確な模型であることが重要です。
歯医者さんなら、誰でも精確に歯を削れると思ったら大間違いです。頬や舌に挟まれ、暗くて狭いお口の中で大量の水しぶきの中を1センチ四方にも満たない小さな歯を精確に削るのは至難の技です。さらに、最終的な仕上がりを考えながら、多数の歯をバランス良く削る作業は知識と知恵、経験が無いとできません。無限に時間をかけられる訳ではないので、とても苦労します。そして、振動が少なく回転の安定しているドリルや切れ味の良い新しい道具を使うことで、削る精度を上げられます。
さらに、大量のお水で冷やしながら削ることも大切です。歯を削る時に痛いのは、摩擦熱で痛いのです。実は、国産の診療台の多くは注水能力がありません・・・。知覚過敏の原因になりやすいのです。
- 歯医者さんへの
質問! -
お口の中を総合的に治療した症例を、見せてください。 ⇒【ブログ】先生の診療台は知覚過敏の予防に毎分50ml以上のお水が出ますか?
正確な歯型が採れるか
ここがポイント!
- 歯型を採るときに、歯周ポケットの中に糸を挿入しているか?
- 歯型を取る前に、歯石をしっかり除去しているか?
- 歯茎が引き締まるまでは、歯型を採らないようにすること!歯周ポケットが残ったままで、歯型を採ってはいけません。
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圧排糸挿入 -
精確な型取り -
削られた部分が明瞭な歯型模型
精確に歯を削ったら、精確に歯型を採る必要があります。 精確な歯型がなければ、どんなに優れた歯科技工士さんでも精度の高い良質な入れ歯・インプラントは作れません。
怖いのは、仕上がりは綺麗でも精確な歯型で製作されている保証がまったくない点です。不明瞭な歯型で製作された被せ物は、当然ですが虫歯や歯周病のリスクが高まり、治療後に長持ちしません。実は、精度の高い歯型が採れる歯医者さんはとても少ないです。
最近では、光学印象(カメラで写真を撮るだけで、歯型が必要ない技術)が普及してきましたが歯周ポケットの中までは撮影できません。さらに、精度の問題もあります。まだまだ、適応症が限られるのです。
一日で、セラミック冠が完成するというシステムもありますが、個人的にはお勧めできません。
当院でも20年以上前に同様のシステム(セレック)を導入しましたので、新しい技術を否定している訳ではありません。
安かろう、悪かろうでは、意味がないと考えるからです。
- 歯医者さんへの
質問!
実は、高額治療が高品質という保証はありません・・・
歯科治療は誤差との戦いです!
ブリッジをバラバラにして作っているか
オールセラミック冠では強度が保てない場合に、金属フレームを用いたセラミック冠で対応した症例
-
バラバラになっている被せ物 -
精確に装着されているか確認 -
精確に位置を固定します -
精確に位置決めされた被せ物 -
連結補強された被せ物 -
セラミックを焼き付けたところです
実はブリッジ(連結冠)は、最初はバラバラが基本です。
模型とお口の中の歯の位置は、必ず誤差が出るからです。
真面目な歯医者さんは、最終的にすべての被せ物を連結補強する予定でも、基本的にまずバラバラでブリッジを製作します。
それから1本1本の被せ物が正確に定位置に戻るかを確認します。そして、その位置を記録します。これを歯科技工士さんが誤差を最小限にして溶接するのです。
でもオールセラミック冠のブリッジの場合は、溶接ができません。
そこで最終的な被せ物と同じ物を樹脂で製作して仮合わせを行ないます。もしもズレていたら、その場で切断して正しい位置関係に修正し連結固定します。それを、セラミック冠に置き換えるのです。
歯医者さんと歯科技工士さんが手抜きをしないで精度を追求しなければ良い物はできないのです。
でも困ったことに、そもそもどうやったら精度の高い治療ができるのかを知らない歯医者さんも多いのです。
さらに、ズレているのを歯科技工士さんの失敗のせいにする人もいます・・・。技工士さんもガッカリです。
オールセラミックの連結冠の症例
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正確な歯型模型 -
最終的な形を樹脂に置き換えます -
樹脂のフレームの正面観です -
精密にシミュレーションします -
お口の中で、樹脂のフレームを仮合わせします -
見た目と咬み合わせの確認をします
不採算な保険診療・・・
手抜きをしてもしょうがない部分にこだわっているか
ここがポイント!
- 根っこの治療でゴムのマスク(ラバーダム防湿)をしているか
-
ラバーダム防湿 -
治療部位だけを露出させます -
鋭利な器具をお口の中に
落下させるリスクが無くなります
日本の保険診療報酬は、先進国の中で最下位です。そのため、すべての治療が薄利多売で、流れ作業になりやすいです。
治療技術の制約も多く、先進的な治療技術も導入されていません。そのような環境の中でも、根っこの治療や歯周病の治療など、基礎治療でも誠実に施術している歯医者さんがおすすめです。
この黒いマスクは、ゴムのシートです。
ラバーダムシートと呼びますよ。
このゴムのマスクを装着することを、ラバーダム防湿と呼びます。
基礎治療でも、この何のために使用するのかと言うと
- 治療する歯が、一目で解るので効率的
- 唾液や呼気が、根っこの穴の中に流れこまないので感染リスクが減る
- 根っこの消毒をするためのお薬が、お口の中に流れ込まない
- 小さな治療器具を、誤ってお口の中に落とす危険がない
- 唾液や呼気が治療する歯にくっつかないので、歯を補強したりする時に、湿気で接着剤の強度が落ちるのを防止できる
などです。
- 歯医者さんへの
質問! -
根っこの先まで、お薬が入っているかレントゲン写真で説明してください
壊れない入れ歯やインプラントはありません
想定外のトラブルに対応した経験があるか
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術後10年目で固定用スクリューが破損 -
下アゴはすべてインプラントです -
ネジ固定式のブリッジです -
スクリューが折れて残っています -
インプラントの中でスクリューが折れています -
スクリューを除去しました -
土台のスクリューも折れています -
セラミック冠のスクリューが一本折れています
入れ歯やインプラント治療の経験が長くなり、症例数が増えると、想定外のトラブルに遭遇します。
その経験を積み重ねることによって治療技術が研鑽されていきます。
日々のノウハウが蓄積されて、より壊れにくい入れ歯・インプラントの製作が可能になります。
歯科技工士さんにも聞いてみてください
実は、歯医者さんの技術力を一番理解しているのはパートナーである歯科技工士さんです。
匿名でかかりつけの歯医者さんが提携している、歯科技工所さんに問い合わせをしてみてください。 歯医者さんの技術力を一番身近で見て知っていますよ。とても、おすすめです。