「神様が仕掛けた時限爆弾!
親知らずは百害あって一利無し?早い時期に抜きましょう!」
人間の身体の中に不要な物は無いと思いますが、
歯科医の立場で考えると
要らない物が二つあります。
一つ目は、以前の記事にも書きましたが、
極論ですが、「乳歯」です。
乳歯なんて?
どうせ生え替わるので必要ありません。
この記事も好評だったので、参考までに是非読んでくださいね。
★「お母さん、内緒の話ですが生え替わる乳歯は、治療の必要はありませんよ・・・」
そして、二つ目は「親知らず」です。
「親知らず」は、3番目の大臼歯で歯並びの一番奥に
18歳前後で生えてきます。
どうやら、この歯は進化的にみて徐々に必要とされなくなってきているのか
最初から無い方もいますが、だいたいの人は生えてきます。
もともと歯は、自分の場所より前の歯を押すような
噛み合わせの仕組みになっているのですが、
この親知らずと言う歯は、
生えるスペースが足りないため、
生える途中でも、
他の歯を前へ前へと押して行きます。
親知らずのように大きな歯なら、なおさら強い力で押していきます。
下の写真を見てください。下アゴの歯並びです。
親知らずまで、すべての歯が生えています。
写真の左右の最後の奥歯が、親知らずです。
左側の前歯が飛び出しちゃいましたね・・・。
そのうち、右側も飛び出しますよ・・・。
この親知らずの前に押す力は、
困ったことに歯茎の下に埋もれている状態でも
前の歯を押しています・・・。
「私は、親知らずは生えていないから大丈夫~!」
な~んて、安心してはいられないのです・・・。
少し難しいお話ですが、
人間の歯は隣りどおしの歯と、
点と点で接触しています。
例えば、ボールをイメージして下さい。
両手に持った2個のボールをくっつけると、接触している場所は「点」ですよね?
そして、くっつけた2個のボールがズレて動かないように
安定させるのって難しいですよね?
これが四角い積み木だったら、簡単です。
なぜなら、面と面との接触だからズレません・・・。
歯と歯の接触する面は、楕円形をしています。
つまり、お隣の歯とは「点接触」なのです。
その接点が少しでもズレると、
その押す力で隣どおしの歯は、みるみる重なり合ってきます。
理想的な歯並びの人以外は、徐々にズレてくるのです・・・。
神様が仕掛けた、時限爆弾です・・・。
その親知らずの影響を少しでも排除するために、
親知らずはない方が好都合なのです。
後ろからドンドン押されると、
特に前歯が重なりやすく、
その分、歯並びのアーチが小さくなってしまうのです。
さらにちょっと難しくなりますが、
特に下の歯並びのアーチが小さくなると
歯が内側に倒れこみ、上下の噛み込みが深くなります。
解りやすく言うと、
下の前歯が、上の前歯に隠れて見えなくなります。
この状態は何が問題かというと、
噛み込みが深くなった分だけ
下アゴが喉の方向に押し込まれるのです。
すると、アゴの関節が押し込まれるので、
顎関節症や関節の周囲の神経を圧迫し
不定愁訴の原因になるのです・・・。
さらにさらに、親知らずは正常に生えたとしても、
一番奥に生えるので、
舌の付け根に近い場所に位置しているため、
舌の動きを邪魔しがちになります。
すると
舌のストレスを招いたり、
舌が喉の方向に押し込まれ、
酸欠になります。
どちらも不定愁訴など、身体の不調の原因になるのです。
と言うことで、私の矯正治療の師匠、ポール先生の講演中のネタですが
「親知らずは、
神様が人類を間引くために
作ったのかも・・・?」
って、よくお話されます。
人類が、適当に体調不良で亡くなってもらわないと
増えすぎて困りますから、
歯と歯の接触関係を点にしたり、
親知らずを作ったのかもしれませんね・・・?
と言うことで、
いずれにしても歯の並ぶ隙間が少ない現代人には
親知らずは要らない歯と言えるでしょう。
早い時期に抜いてしまうことをお勧めします。
もちろん、少数ですが何の問題も無く正常に親知らずが生えている人もいますよ。
当たり前ですが、抜く必要はありません。
かかりつけの歯医者さんにも、是非教えてあげてくださいね!
ではまた。