歯茎が腫れて、ご来院です。
60代の男性の患者様です。
下の写真をご覧ください。
真ん中の歯の根っこが割れています。
周囲の骨も溶けています。
このような状態では、保存できませんので残念ながら抜歯となります。
この患者様の場合は、前後の歯が健康なのでシンプルにインプラント治療を選択されました。
もちろん、前後の歯を削りブリッジにする事もできます。
利点・欠点をお話しますのであなたが、選んでください。
さて、ここで問題があります。
かなり根っこの周りの骨がダメージを受けているのです。
このように骨が吸収している場合の、インプラントを埋め込む時期は悩みます。
抜歯直後は、インプラントを埋め込むための骨が足りないのです。
歯を抜いた経験がある人なら解ると思いますが、抜いた穴には血液が溜まり数ヶ月で骨に置き換わります。
(但し、沢山の骨が吸収して治癒する場合がほとんどです。その部分が凹んでしまいます。)
だったら、数ヶ月経過してから埋め込めば良いですよね?
でも経験豊富な歯医者さんなら、抜歯と同時に埋め込む事が出来る場合があります。
嫌な外科手術が、1回で済むのです。嬉しいですよね。
但し、適応症を正しく見極めないと失敗します。
安心・安全なインプラント治療を心がけています
診査の結果、今回は抜歯と同時の埋め込みは選択しませんでした。
抜歯後2ヶ月程度の治癒期間を待ち、埋め込み手術を計画しました。
下の写真が、抜歯直後のレントゲン写真です。
赤い点の部分が、骨がとけています。
インプラント体の埋め込みが成功するには、インプラント体が骨にしっかりと固定される必要があります。
そのためには、当然ですが抜いた穴が小さいか、抜いた穴に骨ができて、埋め込むインプラント体よりも小さくなっている必要があります。
裏技ですが、抜いた穴よりも太いインプラント体を使う場合もあります。
でも上の写真のように、隣の歯とスレスレまで骨が吸収している場合にはその裏技も使えません。
もう一つの裏技は、長いインプラント体を使うテクニックです。
抜いた歯の根っこよりも長いインプラント体を使い、根っこの尖端に残っている骨に固定するのです。
これも、今回は根っこの尖端に骨が無いため無理でした。
工夫をすればおそらく埋め込む事は出来ると思いますが、患者様も急がないとの事なので、無理をするのはやめたのです。
と言うことで下の写真が、抜歯後2ヶ月経過した状態です。
抜いた部分が、大きく痩せています。
難しいインプラント治療も得意です。
下の写真が、埋入手術時の状態です。
インプラントの経験が少ない歯医者さんだと、この画像を見たら難しいと感じると思います。
でも経験豊富な歯医者さんなら、大丈夫です。
外側の骨はありませんが、上手く内側の骨を利用してインプラント体を固定できました。
でも誰も誉めてくれないので自分で言いますけど、結構難しいのですよ!
なんの事か解らないと思いますけど、埋め込む時に内側の骨に押し返されて、インプラント体が外側に倒れてしまうのです。
そして、切開した部位を縫い合わせて終了です。
約8週間後に、歯型を採り完成です。
下の写真が、インプラント体に装着されたネジ止め固定用の土台です。
外側の凹みも回復しています。これは、移植材を填入したせいもあります。
そして、セラミック冠を装着します。
固定用のネジが見えると思います。
ネジ穴は、樹脂で封鎖します。
いかがですか?
ブリッジに比較すれば、比較的簡単に機能が回復できます。
歯を削らないので、ダメージも最小限と言えます。
もちろん、外科処置が嫌いなら歯を削りブリッジも良いと思います。
高品質なブリッジなら、10年以上の耐用年数は楽にクリアできるはずです。
あなたに合った治療法を選んでください。
当院は、インプラントを無理にお勧めしません。
いろんな治療法をご提案しますので、お気軽にご相談下さい。
埋め込み手術から、およそ2ヶ月半で完成です。
当院は、入れ歯もインプラントも得意です。
お気軽にご相談ください。