あなたは、どんな基準で歯医者さんを選んでいますか?
近所だからなんとなく?
昔から通っているから?
新しいから、若いイケメンの先生だから?
先生が優しいから、スタッフが可愛いから?
設備が最新式みたいだから?
ホームページが綺麗だから?
○○認定医だから?
経歴に研修会の修了書があるから?
お友達の紹介だから?
などかしら?
素人だから仕方が無いとは言え、そんな選び方で大丈夫ですか?
もちろん、あなたの自由にしてください。
そして身体の事なんて全く興味が無いなら、この先は読まなくても大丈夫です。
でも、歯の事でお悩みのあなたには、歯医者さん選びの物差しになるので是非参考にしてください。
だって、今までの歯医者さんが頼りにならなかったから、今のあなたが存在するのです・・・。
と言うことで、今回は歯型の採り方のお話です。
多くの歯医者さんにとっては、公表して欲しくない内容かもしれませんが、あなたのためですから、教えちゃいますね!
さて、歯でお悩みのあなたなら、高確率でお口の中に銀歯が装着されていますよね?だとしたら、歯型を採った経験が必ずあるはずです。
お口の中一杯に、歯型を採る材料を入れられて、固まるまでの待ち時間がとても辛い体験の事です。ぼんやり、記憶にありませんか?
最近では、口腔内スキャナー(光学印象)というデジタル技術が進歩してカメラで歯の写真を採るだけで、大変な歯型採りが無くなりそうな時代です。でもまだまだ適応症が限定されます。
下の写真が、1985年に発売されたセレックという、世界初の歯科用口腔内スキャナー付きセラミックの自動切削器械です。
歯を削り、カメラで写真を撮ったら、設計、デザイン後セラミック冠を自動で削り出してくれます。
30年近く前に導入しましたが、精度が悪くすぐに物置き行きになりました。時代を先取りし過ぎました。確か、県内導入第一号だったかな。当時の価格で、800万以上していたと思います・・・。ベンツ買えば良かったです。(笑)
最近では、後継機種がかなり普及しているようですよ。どこまでこだわるかで評価が分かれるところです。巧みの技を持つ歯科技工士さんには、勝てませんが適材適所に使い分ければ、良いと思います。
ほとんどの歯医者さんがやっていない、歯肉圧排とは?
では話を戻しますね。歯型採りの本題です。
あなたが歯医者さんを選ぶ時には、
歯周ポケットに糸を挿入してくれる先生にお願いして下さい。
専門用語で、歯肉圧排と呼ばれています。
歯医者さんなら、誰でも知っている?この歯肉圧排という作業ですが、ほとんどの歯医者さんはやっていません。
理由は簡単、
歯医者さんなら、誰でも正確に歯が削れると思いますか・・・?そもそも、理想的な歯の削り方を研究していない人が多いです。日々の研鑽が大切です。1本として同じ状況の歯が無いからです。自己流の削り方になってしまいます。もちろん、歯科大学で最低限の削り方は習いますがインストラクターですら、あてになりませんから・・・。
歯型採りで使用する材料が良ければ、正確な歯型が採れると勘違いしている歯医者さんが居ますが、材料の寸法精度が高いだけでは、意味が無いです。よくホームページで見かける、「精度の高い材料を使います」みたいな文言ですが、材料を代えるだけで上手く歯型が採れるなら、誰も苦労しないのです・・・。
圧排無しで、正確に歯型が採れると勘違いしている人もいます。そもそも、歯型が正確に採れているのか判断できない人もいます。
などです。嘘だと思うなら、歯型採りの時に、歯医者さんに聞いてください。
「先生は、歯型採りで歯肉圧排をしていますか?」目が点になりますよ。
さて、銀歯やセラミック冠を被せる時に歯医者さんはあなたの歯を削ります。
どこまで歯を削るのかと言うと、歯と歯肉の境目、多くの場合は歯周ポケットの中まで削り込みます。(もちろん、意図的に歯周ポケットの中まで削り込まないテクニックもあります。)
歯周ポケットの深さは、たった1本の歯でも場所によって深さが違います。健康な歯肉で、深さおよそ1~3ミリ程度です。その中まで息を止めて、繊細に削り込むのですよ。そして、歯肉は歯に密着しています。歯医者さんでも、ポケットの中は見えません。
歯型採りとは、そんな見えない歯周ポケット内の、削られた歯の境界部分を正確に記録する繊細な技術なのです。
歯肉圧排とは、歯周ポケットに細い糸を挿入する事により、歯に密着した歯周ポケットを拡げる作業です。削られた歯の境界が露出し明確になるのです。正確な歯型を採るためには歯周ポケットの溝を、水平的に最低0.5ミリ程度拡げる必要があるのです。
高価な材料だけで、正確な歯型が採れるなんて嘘です
では、実際の画像で説明しますね。
下の写真が、歯型採りの準備ができた状態です。上下の歯は、仮の歯です。意外に守られていませんが、正確な歯型を採るためには歯肉が健康であることもとっても大切です。
仮の歯の精度も重要なのです。
仮の歯を、丁寧に作ってもらえる歯医者さんがお勧めですよ。
今回は、下アゴの歯型採りです。
下アゴの仮の歯です。
仮の歯を外します。
では、苦労して圧排した成果をご覧ください。
細い黒い糸と、太い黄色の糸で二重に圧排しています。その挿入した糸を軽く抑えるために、仮の歯を乗せて5分程度待ちます。
そして、高精度な材料、シリコン印象材で歯型を採るのです。
よく歯医者さんのホームページで、使用する材料をアピールしていますが意味がありません。
もちろん、材料も大切です。でも歯に密着した歯周ポケットの中に、簡単に入り込む印象材なんて無いからです。もしあったら、とっくに私が使っています。
さらに、歯型を採る材料を盛り付けるトレーは、あなた専用のトレーを製作しています。
参考までに、他の症例の動画をご覧ください。
歯医者さんの歯型採りなんて、見る機会はありませんから是非どうぞ。
歯型を公開できる歯医者さんって、どのくらい存在するのかしら?
そして、採得した歯型です。
素人のあなたには、よく解らないと思いますが、かかりつけの歯医者さんにこの画像を見せてください。そして、こうお願いしてください。
「先生~!私の歯型もこんな感じでお願いできますか?」
真面目な、歯医者さんなら喜んでくれますから遠慮は要りませんよ。高い治療費を払うのですから、当然の権利です。是非、試してください。
細部の拡大画像です。
この歯型から製作された精密模型ですよ。
見た事ありますか?
私もあちこちの歯医者さんのホームページを見ましたが、ここまで、情報提供している医院を見た事がありません。
理由は簡単です。誠実な仕事をしている歯医者さんが少ないからです。それは、高額治療でも同様です。手間暇がかかり、大変だからです。でも、私はそれが高額治療だと思うのですが・・・。
普段から丁寧な仕事をしている歯医者さんにとっては面倒ですがごく当たり前の事です。綺麗事は何でも書けますが、実際の仕事の裏側を公表するのって、大変なのですよ。
この患者様の症例でも、模型を見ればいくらでも修正したい部分はあります。特に、この患者様は治療前から前歯に強い知覚過敏を起こしていました。そのために、削る量が限られるのです。削り過ぎて、神経組織に致命的なダメージを与えたく無いからです。
是非、歯医者さん選びの参考にしてください。