「歯科医が患者さんに教えたくない、
　良い歯医者さんの選び方　その③　
　歯の型採りの巻～！」
前回までは、あなたの歯を作るための咬合器やフェイスボウといった、
特別な道具のお話でした。
今回は、もっと基本的なお話です。
あなたも歯医者さんで経験があるかもしれませんが、
「歯の型を採る」
に注目してみますね。
いくら最新の器械を使って、
一流の歯科技工士さんに、あなたの歯の製作をお願いしても
あなたが通っている歯医者さんが、
そもそも歯の型を採るのが下手くそだったら、
元も子もないですよね・・・？。
当たり前ですが、
精度の悪い型採りからは、
どんなに頑張っても、精度の高い歯型はできません・・・。
その悪い歯型から作られるあなたの歯は、
あなたのお口には、きちんと合わないのです・・・。
「そんなことないよ～！」
って、思いたいかもしれませんが、
残念ながら、あなたが気がついていないだけです・・・。
銀歯を例にあげれば、銀歯と削られた歯の間は、隙間だらけなのですよ・・・。
当然、隙間や段差があれば、歯垢がたまり虫歯や歯周病の原因になりますよね・・・。
幸い、その隙間は銀歯を歯にくっつける時に、
接着剤を使うので、その隙間に接着剤が入り込みます。
そのため、最初は何ともありません。
ただし数年後・・・。
接着剤が徐々に溶け出し、虫歯になるのです・・・。
昔、大学病院で保険診療で製作された銀歯の精度を、
調べたデーターがありました。
なんと、銀歯と削られた歯の間には、平均０．３ミリの隙間があったそうです・・・。
「な～んだ、０．３ミリか～！」
と安心した人もいるかもしれませんが、虫歯菌の大きさを考えてください・・・。
細菌は、目に見えないくらい小さいんですよ・・・。
０．３ミリはとんでもない、隙間です・・・。
大問題です・・・。
ちなみに、
学問的に理想的と言われている、
被せ物と削られた歯の隙間の目標値は、０．０３ミリ以下です。
この精度を実現するのは、実は至難のワザなのです。
私達の仕事は、いかに精度を上げるかの戦いなのですよ！
なぜなら、あなたの歯型を採る瞬間から、誤差との戦いだからです・・・。
簡単に説明しますね、
私たちがあなたの歯を作る時は、歯型を採ります。
その時点で、すでに歯型を採る材料の変形という誤差が生まれますね・・・、
次に採った歯型に、模型材（主に石膏を使います）を注入します。
ここでも、模型材の膨張や収縮の誤差が生まれますね・・・、
まだまだ、歯が出来上がるまでには多くの作業工程があります。
その度に、誤差が生まれるのです・・・。
隙間が０．０３ミリ以下の精度を出すのが、
いかに大変か少しは感じてもらえるとうれしいのですが・・・。
自費診療が高額になる理由は、
理想を追求するからなのですよ・・・。
そこで、あなたに質問です。
下の写真の道具は、何でしょう？


歯医者さんには、必ずあります。
無いと仕事になりません・・・。
正解は、歯型を採る時にソフトクリームみたいな材料を盛りつけるための、
印象用トレー
という道具です。
そして、精度の高い歯型を採るためにも、
とても重要な役割をします。
ちなみに、
良い印象用トレーの条件は、とにかく頑丈な事です。
あなたも経験があるかもしれませんが、
歯医者さんで、お口の中の型を採ってもらうる時に
歯医者さんが、歯型を採ったトレーをあなたのお口の中から
取り出す時に
吸盤みたいに吸いついて、
外れなかった経験がありませんか？
この印象用トレーが頑丈じゃないと、
この外す時にトレーごと変形するのです・・・。
ちなみに下の写真が、
日本の歯医者さんが大好きで
一般的に使われているトレーです。

一番、売れているそうです。
安いからでしょうか・・・？。
経費削減・・・？。
私たちは、見た目が網目模様だから、
網トレーと呼んでいます。
確か、商品名も網トレーだった気がします・・・。
利点は、値段が安いこと。
欠点は、とにかく強度が弱いこと。グニャグニャです・・・。
下の写真を見てください。


指先の力だけで、簡単に変形します・・・。
これで歯型を採ったら、１２０％変形していますよ・・・。
保証してもいいです。
100％変形保証です！（笑）
そして、良い歯医者さんが好んで使うトレーがこちらです。

商品名は、リムロックトレーと呼ばれています。
もちろん、とても頑丈に出来ているので、変形のリスクは最小限に抑えられます。
網トレーと並べてみますね


私は、保険診療でもこのトレーを使っていますよ。
当然ですが、自費診療はもっといい物を使います！
そこで、歯科医が患者さんに教えたくない、
良い歯医者さんの見分け方！
毎度おなじみ、歯医者さんへの質問です！
①先生がお使いの印象用トレーは、
もしかして網トレーですか？
「そうですよ、よく知ってますね」
って言われたら、脱走してくださいね・・・。
あなたのかかりつけの歯医者さんが、網トレーなんて使っていないことをお祈りします・・・。
次回のお話は、
「印象用トレーだけじゃ、だめなんです・・・」
です。
ではまた。