「間違いだらけの入れ歯えらび！その②」
前回の「間違いだらけの入れ歯選び」の記事は
①日本の歯科大学は、入れ歯の教育がとても遅れている事
②そのため多くの歯科医師も歯科技工士も
入れ歯の正しい設計が出来ない事
などでした。
今回はその続編です。
さて突然質問ですが、あなたは入れ歯でどんな悩みをお持ちですか？
よく噛めない、見た目が悪い、違和感がひどい、
歯肉に当たって痛いなどなど、あげたらきりがないかもしれませんね・・・。
インターネットの時代ですから、
パソコンでいろいろと検索していることでしょう・・・。
それとも、入れ歯のうまい先生を探して
何件も歯科医院を訪ねているかもしれませんね・・・。
ところであなたは、下の写真のような入れ歯を見たことがありますか？

もしかしたら、あなたの入れ歯がそうかも知れませんね・・・。
これは、ノンクラスプデンチャーとか、
スマイルデンチャーとか言われているタイプの入れ歯の事です。
たしか、１０年くらい前から徐々に浸透してきた入れ歯です。
歯科医院の宣伝では
①バネが見えない入れ歯とか
②金属を使わない入れ歯とか
③柔らかいから、痛みが少ないとか
をうたい文句に紹介されています。
この方式の入れ歯は、
従来の保険の入れ歯と違い残っている歯に銀色のバネがついていません。
正確には、銀色のバネが歯肉の色と同じようなピンクになっただけなのですが・・・。
でも、バネがピンクなので保険治療の銀色のバネと比較すれば
女性には評判が良いみたいですね。
見た目だけですけど・・・。咬む機能は・・・です。
参考までに保険の入れ歯です。


これが、こうなります

素人のあなたが見れば、なんか、良さそうに思えるかもしれませんが、
入れ歯の専門家の私が見れば、全然ダメです・・・。
残った歯を守る設計がされていません。
歯の寿命を短くしています・・・。
お出かけ用で、食事はやわらかい物だけなら良いかもしれませんが・・・。
設計は、医院によっていろいろです。
写真のように間違った設計もたくさんあります。
そのあたりの理由は以前の
「間違いだらけの入れ歯選び」の記事を良かったら読んでください。
そして、何故か金属を使わないで製作する事が多いようですね。
金属アレルギーとか・・・、もっともそれをセールスポイントにしている医院もある様ですが・・・。
見えない歯の裏側まで、グニャグニャのプラスチックで
製作している医院もあります。ほとんどがそうですが・・・。
私には到底理解できませんが・・・。大丈夫なのでしょうか・・・？
咬む力に耐えられるのでしょうか・・・？
最近は、見た目は同じようでも硬い素材も出来て来ましたが、
多くの医院の素材は柔らかいままですよ・・・。
もしもあなたが、歯科医院で勧められたら質問してください。
「先生の医院では、柔らかい入れ歯と硬い入れ歯では、
どちらがお勧めですか？」
って、もちろん柔らかい入れ歯はダメですよ～
残念ながら、その先生は入れ歯の専門家ではありません・・・。
柔らかいから、違和感や痛みが少ない
と言うのは、私には理解不能です・・・。ありえません・・・。
だって、柔らかいと入れ歯が大きくなるほど、
咬む力で歪みますから、良く咬めませんよ・・・。
そんな事は考えれば、あなたにも解りますよね・・・。
咬む力はものすごいんですよ！
奥歯には、自分の体重ほどの力がかかるのですよ！
せいぜい２～３本までなら、大丈夫かもしれませんが・・・。
それ以上は設計にもよりますが、無理がありますよ・・・。
そもそも、入れ歯の基本は、
咬む力で入れ歯が変形してはいけないのです・・・。
インターネットでも、少数ですが、
それを理解している医院や歯科技工所さんは、
なるべく硬いプラスチックを選ぶか、
見えない裏側は金属で変形しない様に製作しています。
ただし、保険診療の銀色のバネに相当する部分が
ピンクの樹脂になったというだけなので、
正しい設計ができない場合が多いです。
私も、どうしても予算的な制約がある場合に
この方式の入れ歯を製作しますが、
あまりお勧めしていません。
患者様には、あくまで応急的な入れ歯だとお伝えしています。
私が作るノンクラスデンチャーは、他院と違い必ず金属フレームで補強しています。
そのため、保険治療の入れ歯より、
入れ歯の厚みが薄くなり装着感が良いところが少ない利点です。
でも、お勧めはしません。
一番の理由は、歯を守る設計ができない事が多いからです。
この入れ歯にしようと考えていたあなた、やめた方がよいですよ。
予算的にど～してもこれしかできないなら、
金属の骨組みで製作してもらえる医院を探してください。
それが、最低条件です。
参考までに。
ではまた。