「危険です!小学生のお子さんをお持ちのお母さんへ!
虫歯が無いから健康だなんて思わないでください!」
私は近所の小学校の校医をさせて頂いています。
毎年2回、児童の歯科検診を実施しています。
そこで毎年感じることがあります。
虫歯は減っていますが、歯並びの悪い子供達は減らない・・・。
その割合は、なんと70パーセント以上です・・・。
もちろん、お子さんの成長発育は予測できませんから
歯並びが改善される場合もあります。
しかし、異常事態です・・・。
おそらく、日本中同じだと思います。
それは、毎日来院される子供達や
成人のお口の中を診査していても同様です。
綺麗な歯並びの方を探す方が、大変なのです・・・。
どうしてこんな状況になってしまったのでしょうか?
学校検診では、
虫歯と歯並びや噛み合わせの異常を調べていますが
「その後どうしたら良いか?」という事までは指導していません。
子供を持つお母さんも、
検診の後に学校から送られてくる検診結果を見て
あわてて虫歯の治療は受けても、
歯並びの治療までは、
積極的に受けようとしていないのではないでしょうか?
欧米のように、
子供の歯並びを治すことが親の義務という認識は無いのです・・・。
それは私たち歯科医にも問題があります。
歯科医ですら
「虫歯が無ければ、子供の口は健康である」
という程度の認識がまだまだ多いからです。
さらに、歯科医が歯並びの問題を認識しても
矯正治療の技術を取得している歯科医がとても少ないため、
子供の歯並びの異常を見つけても
その後どのようにして治療していけば良いのかが解らなかったり、
矯正専門の歯科医の間でも
治療法に相違があるため適切な情報提供ができないのです。
特に、矯正専門の歯科医院では
主に永久歯に生えかわった方を対象にしたテクニックで施術しているため、
治療開始が遅れる傾向にあります。
せっかくお母さんが永久歯に生えかわる前に、矯正専門医を受診しても
永久歯に生えかわるまで、
積極的な治療をしないで待っているだけの場合もあるのです。
もちろん、結果が良ければ何も問題はありませんが、
治療を開始するタイミングが遅れたために、
大切な永久歯を抜歯されることもあります。
さらに残念な事は、
運良く治療を開始したのに
乳歯がまだ残っている時期に、
歯の外側から、針金で縛る方法を選択されている場合です。
乳歯が残っている時期は、
アゴの成長発育の邪魔をするような治療法は避けるべきです。
下の写真のように内側から成長を助ける装置を選択すべきです。
もしも歯の外側から針金で縛る場合は、歯医者さんに確認して下さい。
「先生、永久歯が生えてきたら歯を抜くのですか?」
って、聞けば大丈夫です。
誤解しないでもらいたいのですが、
矯正治療において、すべての抜歯がダメな訳ではありませんよ。
でも、乳歯が残っている早い時期に矯正治療を開始できれば
ほとんどの子供さんの歯を抜かずに並べる事が可能です。
早く日本も育児というプログラムの中に、
「不正咬合(悪い歯並び)の予防」
が取り入れられれば、
今の子供達の歯並びの異常や、アゴの小さな子供が多くなったなどど
騒いでいる事態にはならなかったのではないでしょうか?
お口の健康は、全身の健康と直結しています。
そろそろ日本も、「お口の健康」が虫歯予防だけという認識を改める時期です。
子供達が、きちんとした歯並びと噛み合わせを手に入れて、
噛み合わせの不良が引き起こす、
様々な不定愁訴に悩まされないで
生涯健康な人生を送ってもらう事を
目標にしたいものです。
子供の歯並びでお悩みのお母さんも、
疑問に思ったら複数の歯科医師の意見を聞くべきです。
抜いた歯は元には戻せません。
矯正治療も、いろいろなテクニックがあります。
どこの歯医者さんでも同じではありませんよ・・・。
あなたが良い歯医者さんに出会える事をお祈りしていますね
ではまた。