下の画像をご覧ください。
精密に製作された、11本のセラミック冠の金属フレームです。
このフレームの上に、歯科技工士さんがセラミックを焼き付けます。
最近では、オールセラミック冠が主流になりましたが、オールセラミック冠では強度が確保できないような症例には無くてはならない治療法の1つです。
神経組織を除去された歯は、枯れ木のように脆いのです。
延命のために弱い歯を連結、一体化し補強します。
下の写真が、この症例のお口の中の状態です。
全ての歯が、神経組織を除去されています。
とても、脆い歯です。
このような場合は、延命のために金属冠を連結補強します。
でもたまに、こんなお願いをされます。
「連結して壊れたら、そこだけ治せないから連結したくない」
みたいな感じです。
連結する理由は、できるだけ壊れる(抜歯)のを先送りするためです。
単独冠よりも、圧倒的に延命できます。
せっかく同じタイミングで治療できるのに、連結しないなんてありえないのです。
もっとも歯医者さんなのに、考えていない人が多いので、仕方が無いかもしれませんね。
良く解っていない歯医者さんや歯科衛生士さんの中には、
「連結するとフロスが通せなくなるからダメ」
みたいに考えている人も居ます。
そういう人は、フロスの役目が解っていません。
フロスを使う本来の目的は、隣りの歯と歯が接触している部分(接触点と呼びます)を清掃する事です。
連結すれば接触点は無いし、そもそも人工物は虫歯になりません。
連結するのは一部分だけなので、接触点から歯肉までの隙間は残しています。
歯間ブラシは通りますから大丈夫です。
仮に、連結した金属冠の一本がダメになったら連結部分を切断する事もできますよ。
あなたのデメリットは何もありません。ご安心ください。
では、話を戻しますね。
これから、お口の中に金属冠を試適します。
下の写真を見て下さい。
不思議に思われるかもしれませんが、バラバラです。
歯科技工士さんが、間違えたのでしょうか?
もちろん、冗談です。
実は、どんなに精度の高い材料を使用してもお口の中と模型上では必ず誤差が生じます。
つまり、模型上で連結してしまうと、きちんとお口の中に戻らないのです。
ということで、こんな作業が必要になります。
まずは金属冠を一本ずつ、削られた部分まで精確に適合しているか確認します。
あなたには見えない、裏側も確認しますよ。
ちなみに、ここまで情報提供している歯医者さんを見た事がありません。
もしかしたら、あなたに見られると困るからなのでしょうか?
精確に適合しているのを確認したら、変形が少ない特殊な樹脂で位置関係を固定します。
下の写真が、お口の外に取りだしたところです。
このお口の中で精確に位置決めした金属冠から、確認用のジグ模型を製作します。
これから、歯科技工士さんが精確に連結するのですが、
このジグ模型を元にして、精度の確認をするのです。
下の写真が、連結するための特殊な耐火模型材に、金属冠を埋め込んだところです。
連結したところです。
裏側から、見たところです。
位置関係確認用ジグ模型に、精確に戻ることを確認します。
そして、いよいよお口の中で仮合わせをします。
この作業を当たり前のように、実践している歯医者さんはほとんどありません。
ほとんどの歯医者さんは、
① そもそも、このような精度の高い治療法を知らない。
② 連結補強の重要性を知らない、考えていない。
③ 歯型に誤差がある事のリスクを、考えていない
④ 漠然と、天然の歯と同様に単独冠が良いと考えている
⑤ 保険診療中心で、流れ作業みたいな医療しか提供できない
みたいな感じだと思います。
話をもどしますね。
治療精度にこだわり連結補強する場合は、今回のように何らかの工夫が必須になります。
当院では、その他にも精度を高める多くのノウハウがあり実践しています。
全て、あなたのためです。
手間暇を惜しみませんよ。
是非、歯医者さん選びの参考にしてください。
ではまた 。