「もしも歯をぶつけて、歯が抜けてしまったら・・・」
もしもの時に、知って得する豆知識をお伝えしますね。
まずは、外傷についてです。
当院にも時々、歯をぶつけて来院される方がいます。
ほとんどが、軽傷で、唇や歯肉の切り傷や、歯が少し欠けた程度です。
でも中には、不幸にも歯が抜け落ちてしまうような重症な方もいます・・・。
そんな時、あなたなら、どうしますか・・・？
下の写真をご覧ください。
当時の歯型です。
針金のような物は、抜けた歯を戻して固定するための補強パーツです。
数年前に、自転車で転んで前歯と奥歯合わせて６本損傷された患者様です。
６本のうち４本が、お口の外に抜け落ちてあわてて拾い集めたそうです。

総合病院の口腔外科をまず受診されたそうですが、手遅れと診断されたそうです。
あきらめきれずに、かかりつけの歯科医院を受診し、当院を紹介され来院されました。
すでに、抜け落ちてから２４時間近くが経過していましたが、
「ダメ元でも、元に戻して欲しい」との希望だったので挑戦しました。

戻したところです。

上が戻す前で、下が戻した後です。

そして、治療後です。

なんとか、戻した歯が定着しました。
しかし、２年後・・・。

写真の右上の歯肉が、吹き出物みたいに、赤くなっています・・・。
残念ながら、元に戻した歯の根っこが、吸収してきてしまったのです・・・。
身体が、戻した歯を異物とみなして、排除しているのです・・・。
こうなってしまったら、抜歯しかありません・・・。
現在、再治療を計画中です。
そこで、このようにならないために、
もしもの時の豆知識です。
まず、歯の構造をついてお話すると、
歯の根っこには、歯と骨をつないでいる歯根膜という組織があります。
けがで抜けた歯が助かるかどうかは、
歯についている歯根膜が生きているかどうかにかかっています。
歯根膜は乾燥に弱いので、すぐ保存することが重要です。
抜けた歯の歯根膜を生かしておくには、身近な保存液としては牛乳が最適です。
牛乳は約6時間歯根膜を生かしておくことができます。
最も良い保存液は、ネオ製薬から出ているティースキーパー「ネオ」です。
24時間歯根膜を生かしておくことができます。
アマゾンでも購入できますから、一家に一つ備えても良いかもしれませんね！
でもなかなか普通の人が普段から、持ち歩いている方はいませんよね・・・。
適切な保存液がない場合、口の中(唾液）に保存するのがいいと思います。
気持ちが悪いかもしれませんが、緊急事態ですから、我慢してくださいね。
そして、できるだけ早く歯医者さんに行くことです。
歯医者さんによっては、外科処置が得意でない場合もありますから、
時間のロスをなるべく少なくするために電話で確認した方が良いでしょう。
こんな事にならない事を祈りますが、もしもの時に役立ててくださいね。
そして、万が一の時は、相談してください。
出来る限り、頑張りますよ。