「全ての歯を失って、インプラント治療を検討されているあなたへ！」
「すぐに歯が入るオールオン４は、リスクも高いので慎重にお願いしますね・・・」
「実は、仮の歯専用のインプラントがあるのをご存じですか？」
下の画像を見て下さい。
初診時、治療前の正面写真です。



　４０代女性の患者様です。
インターネットで検索され、来院されました。
過去に歯医者さんで辛い経験をして、トラウマになり
通院できない間にどんどん状況が悪化してしまったらしいです。
とてもお気の毒です。
上アゴの咬みあわせの写真はこんな感じです
保存可能な歯が、数本です。

当院は、インプラント治療も入れ歯治療も得意です
実は、両方得意な歯医者さんは少ないです！

ご相談の結果、インプラント治療で固定性の義歯を希望されました。
参考までに、取り外し式の入れ歯治療で設計を立てる場合をご説明します。
このように、残された歯の本数が少ない場合はドイツ式入れ歯のレジリエンツテレスコープ式部分入れ歯で設計します。
以下の記事をお読み下さい。
★レジリエンツテレスコープ式部分入れ歯

中途半端に、歯が残っていると意外に苦労します・・・
インプラント治療は万能ではありません

さて今回の患者さまのように、沢山の歯を失った場合のインプラント治療は
設計に苦慮します。
インプラント治療は、失われた歯の部分に人工的な金属の歯根を埋め込む治療法です。
基本的には、１本の歯に対して約１本のインプラントが必要となります。
そして、歯を失うとその部分だけ歯肉が痩せてしまいます。
痩せた歯肉に人工的な歯を立ち上げるので、見た目が不自然になりやすいのです。
そのために、こんな問題があります。
① 多くの歯を失った場合は、インプラントの本数が増えるので費用がかさむ
② 残っている歯の部分と、インプラントで立ち上げる歯の部分の調和が難しい
③ 残りの歯を失ったら、再治療しなければならない
等などです。
かえって全ての歯を失った状態のほうが、設計が簡単な場合もあります。
残された歯に影響を受けないで、インプラントを埋め込む部位を決められるからです。
もちろん、総入れ歯の患者さまのインプラント治療はとても難しいです。
外科処置だけではなく、咬み合わせや見た目の問題など総合的な能力が要求されます。
インプラント治療を提供しているクリニックは沢山ありますが、総入れ歯の患者さまに対応可能なクリニックはとても少ないです。

オールオン４という、特殊なインプラント治療があります。

そして総入れ歯の患者様だけの特殊なインプラント治療として、
オールオン４という技法があります。
少ないインプラントの本数（たった４本）で、ほぼ全ての歯を復元する治療法です。
以下の記事をお読み下さい。
★ 全ての歯を失った方のインプラントにも対応（オールオン４）
★「激安インプラント治療は、要注意！」「当然ですが安いのは、理由があります」
このように、インプラントを適切に配置する事で本数を減らすことが可能になります。
もちろん、予算や埋め込む骨の厚みが充分にあるなら
埋め込む本数を無理に減らす必要はありません。
それから、問題になるのがインプラントを埋め込んだ後、
アゴの骨に定着するまでの見た目についてです。
インプラント治療は、埋め込んだインプラント本体が骨に定着するまでに数ヶ月必要です。
基本的にその期間は、インプラントに負荷はかけてはいけません。
絶対安静が必要とされています。
可能なら歯肉の上からでさえ、咬む力を加えたくないのです。
入れ歯の装着も避けたいくらいです。
でも、人前に出るのに歯が無いなんて耐えられないですよね・・・。
だから総入れ歯の場合は、特に苦労します。
そんな要求に対して研究が進み、
無理な力を加えないという前提で、
埋め込んだインプラントに、手術直後から固定性の義歯を装着する技法が行なわれています。

私の母は、いつも最新の治療法を試していました。
亡くなるまで、２０年以上問題無く機能してましたよ。

私の医院でも、２０数年前に開始しました。
第一号が、母でした。
　専門的には、即時負荷埋入法と呼ばれています。
経験を積めば、かなり成功率は高いのですが、
やはり無理をしているのでリスクは高くなります。
インプラントが骨に定着しないのです。つまり、失敗です。
再度、埋め込み手術が必要になります。
　沢山の歯を失った場合のインプラント治療は、問題が山積みなのです。
ということで、試行錯誤の末にこんな計画を立てました。
① 患者様は、状態の悪い歯はこの際あきらめても良いとの事。
適切に、インプラントを埋め込む場所を検討しました。
② 現状より、見た目が悪くなるのは避けたいとの事。
インプラントが定着するまでの期間も、見た目の問題を解決する。
但し、インプラントには負担はかけたくない。
などなど、主に見た目と埋め込んだインプラント本体を安静にする方法を検討しました。
では、治療開始です。
下の写真が、インプラントを埋め込み後のレントゲン写真です。

そして、正面写真です。

手術直後に、仮の歯を装着しますから安心です

手術直後に装着した仮の歯です。
応急的な仮の歯ですから、改善点はたくさんありますが
見た目の問題は何とかクリアできました。

参考までに、治療前の写真です。

今回は状態の悪い歯を利用するために、
根っこの消毒を行ない仮の歯の支えにしました。
でも、支えの歯が足りません。
そこで、こんな技法を使いました。
下の写真を見てください。
インプラントを埋め込んだ後の写真です。

太さが異なるインプラントが埋め込まれています。
実は、細いインプラントは仮の歯を支えるインプラントです。
太いインプラントは、最終的な義歯を支えるものです。
仮の歯を支えるインプラントを埋め込む事により、
見た目の問題を解決できます。
さらに最終的な義歯を支えるインプラントを、安静に保つ事ができます。
　下の写真が、咬みあわせの面の写真です。
柔らかい物なら、お食事も可能です。

参考までに、治療前はこんな感じです。

仮の歯を支えるインプラントは、最終的には除去します。
約３ヶ月後に、インプラントが定着したら最終的に使用するインプラントを支えにした仮の歯に置き換えます。
あなたの前歯が、無くなる事はありません。
いかがですか？
さて、総入れ歯の方のインプラント治療ではオールオン４という技法が有名です。
でもこの方法は、最終的に使用するインプラントにいきなり負担を強いる治療法です。
リスクを伴います。
でも、今回のような仮の歯専用のインプラントを使えばその心配もありません。
もちろん、全ての症例でこの技法が使える訳ではありません。
当院は、あなたの為にリスクが少ない最善の治療法を検討します。
この症例の続きは、またご紹介しますね。
インプラント治療を検討中のあなた、私で良ければご相談ください。
歯医者さん選びは難しいですね
では、また。