「総入れ歯で、お悩みのあなたへ！
入れ歯なんて、どこでも一緒だと思っていませんか？
あなたのかかりつけの歯医者さんと、私の歯型採りを比べてください。」
下の画像を見て下さい。
大変です前歯が、ピンクになっています・・・。

なんとかして欲しいと、急患で来院されました。
私も初めての経験なので、困りました・・・。
もちろん、冗談です。
今回は５０代女性、自費総入れ歯の症例になります。
このピンクの歯は、入れ歯のレプリカです。
複製義歯です。
現在使用中の入れ歯を、そっくりコピーした物です。
これで食事も可能ですが、流石にこの見た目では普段使いは難しいですよね。
参考までに、レプリカの原型と並べてみました。
そして原型の入れ歯は、仮の入れ歯です。

さて質問です。
これは何のために使うのでしょうか？
答えは、歯型採りです。
総入れ歯の歯型採りのテクニックは、いろいろあります。
私のブログでも、たくさんご紹介してきましたが
簡単に、入れ歯の歯型採りの説明をしますね。
多くの歯医者さんは、既製品のトレーと呼ばれる歯型採りの器具を
使って、一発で採ります。
その歯型で最終的な入れ歯を製作します。
少し真面目な歯医者さんは、
その一回目の歯型で、あなた専用トレーを使って
２回目の歯型を採ります。
それで、最終的な入れ歯を作ります。
そこで今回のピンクの入れ歯の説明です。
このピンクの入れ歯の原型となった入れ歯は、仮の入れ歯です。
もう１年くらい使っています。
理由は、歯を抜いたので歯肉が安定するまで待つ必要があったからです。
痛みも無く、お食事も普通にできます。
そのレプリカです。
それを歯型採りに使えば、完成した入れ歯の出来上がりも原型と同等以上の
クオリティは間違いないですよね？
レプリカを、あなた専用トレーにするのです。
でも、私はそのまま使用しません。
歯科オタクなので、一手間加えます。
白い材料は、適合試験材料です。
お口の中に入れて、歯肉が強く圧迫されていないか確認します。

毎度、地味な作業ですが、当たる部分に目印をつけて削除しています。


さらに、足りない部分があれば追加します。
これは後方部分を追加修正するために、細工をしています。


追加する材料が、流れ落ちないように準備しています。

そして、お口の中に挿入して硬めます。

そして、また修正します。
適合試験材料の登場です。



ほぼ修正が、完了したところです。

そして、接着材を塗布します。
むら無く、丁寧に塗布します。


ここで大切なのが、入れ歯の歯型採りは
あなたが咬んだ状態で採るのが理想です。
そのために、奥歯でしっかり噛めるようにしてありますよ。
歯の跡が付いています。

最後に、高精度なシリコーン印象材を使って仕上げの歯型を採ります。
噛んだ状態です。
青い歯型採りの材料があふれています。
実は、唇の型も同時に採っています。
あなたが一番気になる、前歯の見え方は上唇と関係しています。
その参考になるのです。

とても綺麗に採れました。

参考までに、入れ歯のプロがどこをチェックするか教えますね。
プロは、入れ歯の縁を見ます。
歯型の外側、外形（縁）の部分に、専用トレーが露出していないかを見ているのです。
もしも専用トレーが露出していたら、
その部分は咬んだ時に、筋肉の運動を阻害している事になります。
痛みの原因になるのです。
もちろん、完成後でも調整できます。
でも、歯型の段階で１００点満点に近いほど
良い入れ歯ができるのは言うまでもありません。
もう一度、歯型の縁を見てください。
ピンクの専用トレー（レプリカ）は、一切露出していませんよ。
完璧です、誰も誉めてくれないので毎度、自画自賛・・・。
嘘だと思うなら、歯医者さんや歯科技工士さんにこの画像を見せて下さい。

歯医者さん選びのポイント

最後に総入れ歯の歯型採りが、上手な歯医者さんを教えますね
① 歯型は、最低２回以上採る事
一回目の歯型は、総入れ歯専用の特殊なトレーで採る事
② あなた専用の、歯型採りのトレーを製作してくれる事
③ 出来上がった専用トレーを、時間をかけて丁寧に調整する事
④ 最終的な歯型採りには、高精度なシリコーン印象材を使う事
⑤ 歯型を、しっかり咬んだ状態で採る事
⑥ 唇の型も採ってくれる事
等などです。
是非参考にしてください。
でも、なかなか真面目な歯医者さんは少ないです・・・。
そして、採った歯型を見せてもらって下さいね。
チェックポイントは、歯型の外形からトレーが露出していないことです。
でも、歯型だけでは良い入れ歯はできません。
まだまだ、注意点がたくさんあります。
歯医者さん選びは難しいですね・・・。
ではまた。