「要注意！良い歯医者さんは、深い虫歯でも、
とことんあなたの歯の神経を抜きません。」
下の写真を見てください。
真ん中の歯です。
小さな奥歯の下の、大きな奥歯です。
６歳臼歯と呼びます。
ちなみに、この患者様はまだ１０代です・・・。
特に痛みは無いのですが、定期検診でお見えになりました。
治療前の状態です。

何となく、歯の色が黒ずんでいるのが解りますか？
もちろんレントゲン写真でも確認しますが、
歯医者さんなら、見ればすぐに虫歯だと診断できます。
早速、麻酔をしてから、虫歯の除去開始です。
茶色く変色した虫歯の部分が出てきました・・・。

さらに注意深く、慎重に虫歯の部分を除去します。
すると、何か赤い点が見えてきました・・・。
出血しています。
どこか、解りますか？
四角い穴の左下付近です。
実は、神経が露出したのです。

でも術前のレントゲン写真の診断で、
神経に到達しそうな、とても大きな虫歯だと解っていたので
これは想定内です。
さて歯医者さんが、
神経まで到達しそうな深い虫歯の治療をする場合
こんな事を考えます。
神経組織を保存できる可能性がある時は、
①虫歯が浅い場合は、
安全に虫歯の部分をすべて除去出来るので、
完全に除去してから修復します。
②虫歯が深い場合は、
あえて虫歯の部分を残して、
お薬を詰めて保護し、その上から修復する方法と
神経組織が露出するリスクを覚悟で、
神経組織ギリギリまで注意深く、
虫歯の部分を全て除去してから
修復する方法に挑む場合があります。
もちろん、虫歯部分は汚染されているので可能なら全て除去したいです。
でも、神経組織を大きく傷つける可能性が高い場合は、
あえて虫歯の部分を残すのです。
最近では、虫歯の部分を殺菌して
再石灰化させるドックベストセメントというお薬もあります。
成功率は、１００％ではありませんが有効な場合もあります。
今回は、可能な限り神経組織ギリギリまで注意深く、
虫歯の部分を除去する方法を選択しました。
歯科医によっては、
意見が分れますが
歯科医歴３０年以上の経験で、
全て虫歯部分を除去したほうが予後が良いのです。
今回はその結果、神経組織が露出したのです。
露出したと言っても、針の先端ほどの大きさの穴です。
神経組織を保存できる可能性は充分にあります。
私は、可能な限り神経組織を保存します。
まずは、レーザー光線で殺菌します。
黒い部分が、レーザー光線で殺菌された部分ですよ。

そして、お薬を塗布します。

その上から、白いプラスチックで修復します。

治療当日は、少し痛みが出る場合もありますが
強い痛みが持続しなければ、神経組織の多くは保存できます。
でもこの治療は、とても繊細で時間がかかる処置です。
汚染された、柔らかい虫歯の部分は
無理な力を加えると
神経組織に大きなダメージを与えてしまうからです。
薄皮を剥がすように、
少しずつ丁寧に除去しなければいけないのです。
正直、とても面倒です・・・。
保険診療報酬は、約１時間の処置でおよそ３千円・・・。
アシスタントの時給にもなりません・・・。
誰か、助けて～！（笑）
だから、多くの歯医者さんは
簡単に神経組織の保存をあきらめます・・・。
そして、あなたの歯の寿命が短くなるのです・・・。
日本人に、入れ歯の人が多い理由の一つです。
あなたの歯の寿命は、
歯医者さんの技術と
あなたの歯に対する強い愛情で決まります。
今は情報があふれています。
かかりつけの歯医者さん以外も、
いろいろと検索してくださいね。
あなたが、良い歯医者さんに出会える事をお祈りしていますね。
歯医者さん選びは難しいですね・・・
ではまた。