「どうして歯を削る時に
お水を出すのか知ってますか？」。
下の写真を見てください。
下アゴの写真です。
写真左側の奥歯に、銀歯が入っていますね。
今回は、写真右側の奥歯です。
ちょうど左側の小さな奥歯と同じ場所の歯です。


拡大してみますね。
真ん中の小さな奥歯と大きな奥歯の、歯と歯の間が変色しているのが解りますか？

この患者様は、冷たい飲み物を飲んでも
しみたり痛みもありませんでした。
今回の定期検診で発見しました。
ということで痛く無いように麻酔をして、治療開始です。
少し削ります。黒い虫歯の部分が出てきました。

注意深く、お水を出しながらドリルで虫歯の部分を取り除きます。
あなたは歯医者さんが歯を削る時に、
ドリルの先からお水が出ているのは、知ってますよね？
では、なんのためにお水が出ているか知っていますか？
答えは、歯を冷やすためです。
高速で回転するドリルで歯を削ると、発熱するのです。
そのために、大量のお水で冷却しないと
歯の神経組織にダメージを与えてしまいます。
治療後の知覚過敏が出やすくなるのです。
論文では、
ドリルの先端から毎分５０CC以上の水量が必要とされています。
実は、あなたが治療の時に座っている診療台が国産だと、
この水量毎分５０CC以上の最低基準を満たしていません・・・。
歯にダメージを与えやすいのです・・・。
これは、法律で決められている訳では無いので歯医者さんに罪はありません。
基礎的な事ですが、歯医者さんも知らない人が多いのです。
あなたはあまり考えた事がないと思いますが、
歯医者さんの腕も大切ですが、道具も大切なのですよ。
もちろん私は毎分５０CC以上の水量を楽々クリアしている
ドイツ製の診療台を導入しています。
全ては患者さまのことを第一に考え、投資した設備です。

下の写真は、虫歯の部分を取り除いたところです。
茶色い部分が残っていますが、心配いりません。

虫歯の進行度合いを診査する器械で測定しています。
一度削った歯は二度と元に戻らず、しかも歯は削って詰めた場所から悪くなるため、
できるだけ削らない最小限の治療を心がけています。
当院ではダイアグノデント（虫歯診断用レーザー）を取り入れ、
ごく初期の虫歯も見落とさず、確実に発見する事を心がけています。
また、基本的な事ですが虫歯の取り残しを防止するために、
虫歯菌に感染した部分を選択的に染色する事ができる、
う蝕検知液を必ず使用しています。
地味な治療ですが、何度も何度も感染した部分を染色し、
除去するという作業を繰り返すのです。
感染した部分が染色されなくなるまで徹底的に繰り返し行います。

そして下の写真が治療後です。
白い樹脂を詰めて修復します。

銀歯にならないで治療が終了しました。
ちなみに今回の治療は保険治療です。
治療費用は三千円程度、３割負担なら千円です。
予約時間は、１時間枠で確保しています。
格安の理容店は、１０分間1,000～1,500円程度ですよ・・・。
いかに保険治療が低報酬なのか解りますか・・・。
医院の全体の売り上げが１時間で三千円、大赤字です・・・。
歯医者さんの裏話ですが、
保険治療は２０～３０分に一人のペースで患者様を回転させないと
保険診療では経営が成立ちません・・・。
今回の治療も銀歯の治療なら、
２～３分で歯を削って、歯型を採る銀歯の治療なら楽々３０分以内で終了です。
日本人のお口の中が銀歯だらけになるのは、
薄利多売の保険診療で
歯医者さんが生きていくためには
仕方が無いかもしれませんね・・・。
もちろん歯医者さんが銀歯の治療を選んでも、法律的にまったく問題はありませんよ。
でもあなたは、どちらの治療がお好みですか？
あなたが、良い歯医者さんに出会える事をお祈りしていますね。
歯医者さん選びは難しいですね・・・
ではまた。